3/28/2012

FITセミナーレポート① ユニクロ柳井会長「大胆に、一番に、人と違う事を」

先週、とっても楽しかった一日!!
東京ミッドタウンを中心に行われたJFW開催期間中のFITセミナー(2012年3月21日実施)に、取材に行ってきました!


FITとは、ニューヨーク州立ファッション工科大学(-しゅうりつ-こうかだいがく、Fashion Institute of Technology)。1944年に設立されたアート、デザイン、テクノロジー分野の学科を擁するニューヨーク州立大学(SUNY)の一校で、モダンアート系単科大学。当日はFITより6名が来日しました。

セミナーでは(株)ファーストリテイリングの柳井会長兼社長、FIT学長のブラウン氏、FIT Museumディレクターのスティール氏が[グローバル時代の人づくりとJapan Fashion]について語りました。本セミナーは事前応募時点で早くから締切るほどの人気で、会場には多くの業界関係者が駆けつけました。
開会の辞は、尾原蓉子氏。
尾原氏はユニクロ柳井会長が最も尊敬する女性として知られています。
「世界から注目されながらも、なかなか世界に出て行けない日本ファッション。第二次世界大戦から復興した時のような元気のよさを今取り戻すべきかを話し合おう。」

そして、JFW理事長 三宅正彦氏(TSIホールディングス 代表取締役会長)より、
「ファッション産業の景気が悪いが、リーマンショックと震災で今踊り場に来ている。消費者がファッションに求めるものが変わってきている。」
と挨拶がありました。

そして講演がはじまります。
1人目は、ファストリテイリング柳井正会長兼社長。
「日本企業および日本のプロフェッショナルはどうあるべきか」について語った内容について、下記講談内容をまとめました。
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【FITとの繋がりと外向き経営】
1980年代中盤、旭化成主催のFITセミナーでアメリカのアパレル企業やチェーン店、オフプライス百貨店について学んだ。Marks&Spencer, Beneton, GAP, limited,Nextなど世界の数多くの企業から経営の成功事例、失敗事例を学ぶことができた。それ以来、食品のチェーン店、SONYやホンダ、アップル、Googleを業界に限らず研究している。経営者の目は内向き傾向にあるので、外向きの目を持つべきだ。業界の外も、失敗した会社もみるべきであり、常により広い視野を意識しなくてはならない。
【東日本大震災後の日本】
残念ながら、日本はあまり変わっていない。震災直後に北京にいくと、明るい近代都市が出来ていた。東京に帰ると暗くて新旧都市の差を見た気がした。外資系企業のアジア本部が東京から香港や上海と移動していることにも危機感を感じる。
一年経っても復興が進まない。復興だけでなく新しい日本を作るべきだ。日本は若い人も含めて「がんばらない、淡々、安定した」生き方を求める傾向にあるが、個人や企業が強くなって稼いで発言しないと、官僚が強くなってしまうという社会主義に向かっていくのではと懸念している。
【世界へのアピールについて】
まじめ、正直、忍耐性などの素晴らしい日本人のDNAを表に出せていない。ファッション業界においては日本人の美意識をアピールしきれておらず、川久保玲、三宅一生、山本耀司以来の人が出てきていないのが事実だ。フランスは美意識をうまくアピールしている。また、日本人は意見の対立を怖がらずに、具体的な行動を全社員でしていくべきだ。早くしないと世界には間にあわない。
【ブランディング】
ブランドとは、お客様との共感が得られる絆のこと。世界でもし成功したいのならばブランドの確立が一番大事である。ファッションの世界ではやはり欧米がトレンドを作っていることには変わりなく、日本は今でも彼らにとって東の端の国(FarEast)。だからこそ、成功したいならばそのブランドを出すべきだ。
ユニクロの場合、「あらゆる人に良いカジュアルを提供する」。ターゲットでセグメント分けをせずあらゆる人といったところが珍しい。
ファストリテーリングの場合、「服を変え、常識を変え、生活を変えていく」。
【ファッション業界について】
ファッション産業は冒険すべき。日本経済が20年間停滞している間に、アジアの消費の消費者は成長し、今後10年で中国インド30-40億人が中産階級となる。その数は欧米の倍以上。アジアに近い日本としては必ずそこに入っていくべきだ。日本人だけでビジネスを行う、身内だけでやるというのは勿体無い。アパレルや小売という産業はとても古いが、お客様のためというのは不変である。
業界を変えるために各社がすべきこと
変わり続けるお客様のために今日何をしたか?何をするか?ということを考える。
自社、自分が誇りを持っていることを言葉にし、口に出していく。
事業に限界を設けず、出来そうにないことを目標にして実行する。
ファッションは形がなく変化するもの。昔ストッキングでライフスタイルさえ変えたように、自分たちがライフスタイルを変える気概を持つことが大事だ。
最後に、若いときから参考にしている言葉を。『Be daring(大胆に), Be fast(一番であれ), Be different(人と違え)』。これこそがファストリテイリングの成功の秘訣でもある。


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さすが柳井会長、終了後には講演を聞いた業界関係者から「柳井さんについていきたい」という声も聞こえました。
柳井さんのお話の仕方には力があり、かつ内容もまさに「日本社会にカツをいれる」といった感じでした。
まさに、維新ってこういう人が行うんだろうなぁという印象。

講演はしょっちゅう依頼されるけどもかなり選んで受けているというお話をどこかで聞いたことがあるので、
貴重な経験をさせてもらいました。


ブラウン学長、スティール博士の講演は、また次回♫